『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第七章「新星篇」のスクリーンビューイングと自宅鑑賞
先日、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第七章「新星篇」をライブビューイングで見てきました。
初日を逃してまでも、制作スタッフやキャストによる舞台挨拶を見たかったのですが、見終わった時の感想は「アレ?」でした。
ですが、Blu-rayを買い込み、自宅で鑑賞してみると「いいじゃないか!」と評価が逆転しました。
そこで、今回はさい乙的な、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第七章「新星篇」のレビューをしていきますよ。
ライブビューイングの感想
今回の鑑賞は、新宿ピカデリーでライブビューイング付きの上映を選びました。
初日の舞台挨拶は、制作スタッフだけでやることが多いため、あえて二日面のキャスト込みの挨拶を選んだわけです。
おかげで、グッズのほとんどは売り切れてましたが、実は前日に『LEGOムービー2』のマスコミ試写を見たあと、上野で一部を捕獲していたのでよかったです。
登壇者は、制作スタッフから羽原さん、福井さん、キャストから小野D、桑島さん、鈴村さん、神谷さん、手塚さん、山寺さん……だったかな。
司会は、キャストの一人である、中村繪里子さんですね。
このライブビューイングは当日2回目で、1回目は上映後、2回目は上映前となってました。
さい乙が見たのは2回目だったため、ネタバレ禁止という状態での挨拶でしたが、小野さんが楽屋で泣いていた話とか聞くと、観る前から緊張が走ります。
桑島さんの挨拶は、「これで最後だと思うと」というコメントが随所にあって、「桑島法子が声を当てると死ぬ」ジンクスが頭をよぎります。
なんといっても、旧ヤマトでは、1作目も2作目も殺されてますし、続編があるかどうかは別にして劇中退場しかねません。
予告編でも、たぶんデスラー艦で撃たれていたし。
あと、手塚さん(ズォーダーのCV)が、めっちゃ緊張してそうなのが印象的でした。
実は「舞台挨拶初めて」ということだったのだけど、『ガンダムUC』では、やってなかったのかな?
でも、手塚さん、ホントいい声してます。
ま、そんなこんなで、ネタバレ禁止が災いして、とにかく「最後までありがとう」的な挨拶が多かった印象。
でも、ホントにお疲れ様でした。
ライブビューイングが終わり、「この後本編の上映です」と出ると、襟を正し正座してしまうような気持ちになりました。
そして、ついに始まったのです!……「NO MORE 映画泥棒」が!
ああ、そうだねよねこれだよこれ、まさに「すべての予想を覆し」たわ。
……と、肩の力をがっくりと抜きすぎて、いよいよプロローグがスタート。
テレビでは観られないのが、このプロローグです。
福井さんが言っていたのですが、途中からナレータとしての菅生ではなく、沖田艦長の独白と変えたそうです。
今回も、渋い声でいろいろ語ってくれるのですが、これを観てもストーリーがわかるわけではないので、「もはや6章までのダイジェスト」ではないですよね?……とは思います(笑)
ライブビューイングを選ぶ理由
なお、なぜ東京に住んでてリアル舞台挨拶ではなく、ライブビューイングを選ぶかを紹介します。
凄く簡単な理由で、劇場で生で見た場合、キチンとした席が取れないと近眼のさい乙は「登壇者がよくわからない」という状態になります。
しかし、ライブビューイングではカメラでアップになるので、その心配はありません。
また、舞台挨拶終了後の映画鑑賞も、やっととった端席などで見るのはがっかりです。
ですが、ライブビューイングは意外といい席が取りやすいのです。
もちろん、チケットの取りやすさも段違いです。
とはいえ、生で見る感動には負けるとは思いますが、ライブビューイングも悪くないですよってことで。
23話「愛の戦士たち」あたりまで
劇場では区切りがないのですが、紹介の都合上わけてみます。
23話は、ヤマトでデスラー艦に突っ込み、白兵戦が仕掛けた状態からのスタート。
デスラー艦のブリッジでは、キーマン、デスラー、ミルに加えて、古代のドラマが進行し、古代はガトランティスに和平を申し入れます。
ここで驚いたのは、ミルの設定。
旧ヤマトシリーズのことが念頭にあるせいか、ミルがズォーダーの幼生体だって気づきませんでした。
そういえば、ゴーランドの幼生体は「ノル」でしたが、そういう名前の付け方なのかな?
いずれにせよ、悩んだ末の若きズォーダーの英断でしたが、世界の流れはそれを許しません。
うまく行きそうになる……ダメになる……という流れは鉄板ですが、いい感じに描けていたのではないでしょうか。
さて、その裏側では斎藤隊長の物語が進行します。
蘇生体だとわかった隊長が死に場所を選んでいます。
そんな斎藤に対して、永倉の「やれるもんならやってみろ~」というセリフが、最高にいい感じでした。
よく考えると、最初にいた星で「俺は生きているのか?」なんて言いながらぶっ倒れていたので(うろ覚え)、蘇生体でも全然変じゃないですよね。
西条さんが蘇生体という疑惑もあったようですが、むしろ毎回寸分違わぬポーズで「レーダーに感あり」的なシーンを見るので、機械化されているといわれたほうが信じますね。
って、それはただのバンクだろ!(笑)
続いてヤマトに戻ります。
土方さんの「この戦い、もう行き着くところまで行くしかあるまいな」というのが、すべての希望を打ち砕かれつつ最悪の選択肢を選ぶしかない苦悩がよく出ています。
急逝した石塚さんの代打となった楠見尚己さんですが、前作よりもかなり近しい感じでステキです!
似ているという意味では、石塚さんの渋い部分がそっくりで、でも石塚さんの少し高めの感じが足りないかなと思います。
ですが、この最終章、楠見さんの演技にまったく違和感を感じないといってもいいくらい、完璧に演じられたと感じています。
一方、二人のデスラーたちは、今後を話し合います。
ヤマトに残る決心をしたキーマンが「あなたにはガミラスの未来を委ねたい」というセリフですが、ちょいと上から目線すぎね?
……と思いましたが、大人のデスラーはそこをスルー。
そして、白色彗星攻略のヒントをくれる代わりに、ノイデウスーラをプレゼントしてくれます。
このあたり、「新たなる~」を作るための布石に見えますね。
そして、ガトランティスの地球進行が始まります。
「時間断層あれば、戦い続けられるもん」と思っていた芹沢の思惑は速攻で崩れていて、すでに地上制圧までされちゃいます。
んでもって、恒例の「ヤマトが助けてくれるよね」「そうだ!ヤマトがいるぞ!」に続くことに。
24話「ヤマト、彗星帝国を攻撃せよ!」あたりまで
スタート早々、ワープアウトしたヤマトが、トランジット波動砲発射態勢へ。
続いて、トランジット波動砲の悪影響からヤマトを守るべく、ノイデウスーラもワープアウトします。
なんで、トランジット波動砲の問題点をデスラー知っていたのかわかりませんが、なかなか盛り上がる熱い展開です。
そして、波動砲を撃ったヤマトは、次元潜行艦により白色彗星中心部へ向かいます。
このあと、バーガーたちがミラス軍が、おとりを引き受けるのですが、BGMがズチャズチャでおなじみの「ヤマト渦中へ…」なのが若干違和感あり。
でも戦闘自体は、例によって工事用ドリルを打ち込んだりしてて、楽しめました。
中に入ったヤマトは、桂木さんの協力でカラクラム級を引き連れて中心核へと向かい、航空機、空間騎兵、すべて外に出しての総力戦となります。
もう、こうなると旧ヤマト世代は「誰が死ぬのか?」と考えてしまいますね。
そして、機関の不調を見に行き徳川さんが、佐渡先生を助けようとしてアナライザーが、工兵の手抜き工事により天井が壊れて土方艦長が、倒れていきます。
個人的には、アナライザーのラストが一番泣きそうになりましたね。
余談ですが、土方さんの最後の命令、古代に「できるな?」とか言う前に実行しとけよ!……と思ってしまいましたが、そこはドラマの展開として必要なんです……たぶん。
そして加藤も、完全に死亡フラグをへし折ったかと思いましたが、むしろ生を意識することで死亡フラグが復活してしまいます。
でも、きっと次回は弟の加藤四郎がまっているのでしょう!
こうして、完全に「さらばルート」へ突き進みつつあると、次は誰かと気になり始めますが、そこで一休みというわけではないですが桂木さんが犠牲に。
ズォーダーとの仲が復活しそうなしなそうな……という状態でのイーターの怒濤の攻撃ですから、ちょつとビックリ。
最終決戦仕様のパルスレーザーで防戦体制を敷いていても、あれは耐えられませんよね。
余談ですが、一部に不評のヤマト最終決戦仕様ですが、僕は気に入ってます。
もちろん、デザイン的には美しくないのかもしれませんが、これまでの戦闘でイーターの攻撃とかみてれば、ハリネズミのように武装増やすの当たり前です。
第二次世界大戦の大和も、初期装備と最終改装の後では、まったく武装が違いますしね。
デザインは機能を伴ってこそ、はじめてデザインとして意味があるのです。
ただ綺麗なだけなら、それは芸術であってデザインではないのだから。
……とそんな外部の状況をよそに、古代たちの内部への潜入は成功します。
しかし、元ズォーダーである参謀(?)を倒したため、ズォーダーの乱心(?)により、滅びの箱船が起動することになってしまい、さらにやっかいな状況へ。
25話「さらば宇宙戦艦ヤマト」あたりまで
滅びの箱船が起動したことにより、人造生命体であるガトランティス将兵は艦艇ともども壊滅していきます。
これにより、古代たちは撤退するはめになりますが、しかしこのままだと爆弾仕掛けるイベントがなくなります。
そこで登場するのがキーマン中尉で、爆弾持って変換炉に突っ込んでいくことに。
今回、真田さんを生き残らせるために出てきたんではないかと思うくらいの展開ですが、当然のように斎藤隊長も起動甲冑で随伴します。
そういえば、この機動甲冑も一部にかなり評判が悪かったようです。
たしかに、ヤマトにロボというのは違和感がありますが、2199でもアナライザーがパワードスーツ乗ってましたし、時間断層があれば開発は可能ですよね。
そもそも、ガミラスとの戦闘でガミロイドとの白兵戦も経験したわけで、真田さんが「こんな時のため」に開発申請をしないとは思えません。
つまり、兵器の開発運用計画的には、おかしくないじゃないかなーと思います。
もちろん、兵器開発について詳しいわけじゅないので、違ってたらスミマセン……あくまで素人目線で、開発された経過が理解できるってだけです。
それに、ファルコンですらいらないと言ってた南部が、ただの騎兵とか乗せたらマジギレしますよ!きっと(笑)
話を戻すと、キーマン、斎藤を失って、しかも山本のコスモタイガーまで粉々にされたわけですが、当然生き延びるのがラスボスというもの。
月を吹き飛ばし、意気揚々としています。
そんなわけで、満身創痍のヤマトは、総員退艦イベントを発生し、さらばルートの特攻を決行します。
そんな古代君には、記憶を失っている雪も残って付き合います。
ああ、桑島さん、やっぱりダメなんですよね。
ただ、気になるのは銀河をはじめ、ガミラス艦艇も結構残ってますよね?
この状態で特攻にかけるのは、ちょっち気が早いのではないでしょうか?
ついでに、記憶を失っているけど、なんとなく古代が大事に思えるし、実は婚約してらしいとわかっていても、古代の膝に座ってキスできるものなのか?
そして、波動コアの暴走で金色に輝き始めるヤマト。
ん?なんだこの金色の既視感は……いや、それよりこれでは死んだ人が違うだけの普通にさらばルートでは??
そんな状態で25話あたりまで終了です。
最終話「地球よ、ヤマトは…」まで
突如シーンは変わっ、宇宙を掃除している銀河が映り、世界(地球)は救われたことがわかります。
そして、「誰も見たことのない真実のラスト」は、エピローグだとわかるんですね。
で、どんな展開になるかと思えば、時間断層に壊れているけど無事なヤマトが現れます。
艦内を調べてみると、山本が生存しており、古代と雪も高次元(?)にいることが判明。
なんだろう、この誰も見たことのない……はずなのに、どこかで見たことのあるような展開は……。
でも、話はどんどん進んでいき、古代たちの救出作戦を提案することになりますが、時間断層を失う必要があることから反対され、最後は国民投票に委ねられることになります。
投票前には、芹沢、真田両名のスピーチが行われます。
まあ、真田さんのスピーチは「感動させたい感」が伝わりすぎて思い入れできませんでしたが、ある種の答えを得ることができました。
それは、本作での古代の行動原理です。
これまで、テレサによばれただけで、反逆扱い覚悟でヤマト盗んで旅立つって、フリーダムすぎますよ古代君。
って思ってました。
そして、もしかしてマリッジブルーになってたところで全裸美女が現れて浮かれてしまったのか?とまで邪推したくなります。
これは、旧作でも少し気になってたところですしたが、真田さんの演説を聴くと、それが古代の贖罪だったんだなと思います。
約束を守らせることができずにに波動砲艦隊を作らせてしまい、沖田にもスターシャにも顔向けできずに、どうにもならない感じだったんでしょうね。
なので、それがわかったことだけでもよかったです。
そして、波動砲を封印した設定を覆すことなどを全部ひっくりめて、いい感じにまとめたなと思いました。
福井先生お見事です!
一方、古代は高次元で帰りたくないとウジウジしています。
そこで、やっと既視感の原因に気づきました。
その正体は、たぶんエヴァンゲリオンですね。
説明できない理由で別世界にとらわれた主人公を、科学的にがんばって連れ戻すっていうのあった気がしますけど、なかったかな?
ま、それはともかくとして、何でもあり得る……といったテレサが見せる世界が凄いです。
劇場では僕の動体視力が追いつきませんでしたが、自宅のBlu-rayをコマ送りしてみると、2199ではなくて、ホントの旧作のシーンがいっぱい使われてました。
たとえば、アナライザーのスカートめくりとかね。
一番驚いたのは「誰?」と一瞬わかりませんでしたが、『YAMATO2520』のシーンでした。
ちなみに、さい乙の自宅には『YAMATO2520』のVHSがあります(笑)
また、復活編ででてきた娘の古代美雪を思わせる手だけが登場するのも、よかったです。
そして、希望を持った古代と雪を、迎えにきたヤマトが元の世界に連れ戻してくれるのでした。
劇場と自宅のBlu-rayでの印象の違い
とまあ、劇場および自宅での鑑賞からのレビューを書いたわけですが、多きな感想の違いとしては最初に書いたように劇場ではイマイチで、自宅では感動しました。
んで、この差は「慣れ」というのもあるのですが、ひとつには「尺」もあったと思います。
劇場で通しでみたときには、何か24,25話が駆け足に感じ、とにかくキャストを急いで殺しているかのような印象がありました。
そして、その割にはエピローグをじっくりと描き込み、なんだかバランスが悪く感じたのです。
ついでにいえば、ライブビューイングでキャストが「泣けます」と連呼するので、全然違う方向を想像してたのもあると思います。
だから、この展開を受け止めきれなかったのかなーと。
ちなみに、僕の見た上映回は終わっても拍手もなかったですし、泣いている人は1人しかみかけませんでした。
そして、なんともいえない「???」みたいなオーラーをまといながら、新ピカのエスカレーターを降りたものです。
でもですよ。
これがテレビサイズの尺でみると、全然違うんですよ。
すんごくいいです。
迫力は、大画面に負けるかもしれないけど、バランスはテレビサイズがオススメです。
最後に。
制作スタッフの皆さま、ありがとうございました。
変な突っ込みを入れてはいますが、最後までとても楽しめました。
特に地球艦隊の情けない戦いではなく、アンドロメダをはじめてキチンとスペックなりの働きを堪能させていただきました。
また、ラストのエンディングに「ヤマトより愛をこめて」を使っていただき、ありがとうございます!
1章でかかったとき、感動はしたものの、これでラストにはかかることはないな……と諦めていました。
新曲をつくれば売れるかもしれないという最大の営業チャンスを無視して英断されたこと、誰がしたかはわかりませんが感無量です。
ぜひ、ヤマトの「新たなる旅」を見たいものですね!